横浜市の財政問題〜林市政で予算は1.5倍に!財政膨張・財政悪化をカジノ収益で埋め合わせる愚策!

❏財政難がカジノ推進の理由?そもそも何故財政難に?

横浜市の林市長は、財政難をカジノ推進の主な理由としています。「横浜市の財政悪化をカジノ収益で埋め合わせる」というのが市長の考えです。しかし、よくよく振り返ってみると、横浜市の財政難は、自身が進めた「超・積極財政」が一因である事が明らかになっています。林市長・3期12年の任期期間中に、ブレーキの効かない放漫経営が続き、一般会計予算は1.5倍に膨らんでいます。

 

 

❏一般会張〜12年間で予算が1.5倍に

林市長が初編成した平成22年度予算:1兆3,603億円から、先日成立した令和3年度予算へ。林市長在任のこの間に、一般会計予算は+6,469億円増加。平成22年度比で+1.48倍(約1.5倍)に膨らんでいます。

下記のグラフの赤棒グラフは前年度比増加の年、青棒グラフは前年度比減少の年。H26年度(青)とR2年度(青)以外は、毎年増加(赤)となっており、一般会計予算は毎年順調に増加している事がわかります。

東日本大震災、コロナなどの「想定外」の災害の発生や、教職員給与の県費→市費への移管など、理由は実に様々です。より詳しい要因分析と検証が必要です。が、前年度比増を毎年繰り返す「超・積極財政」である事は事実です。

財政難がカジノ推進の主な理由です。が、そもそも、「超・積極財政」を推進したのは誰でしょうか?

 

 

❏2065年には支不足2,000億円

横浜市の長期財政集計では2065年に収支不足が2,000億円超になると試算しています。今でも財政は苦しい状況であると言えます。が、将来は更に厳しくなる見通しです。市民税が基盤となる横浜市財政の構造上、人口減少期に入った現状では、収入の増加は見込めません。むしろ減少します。

前年度比毎年増の「超・積極財政」を推進した林市政。結果、今後、益々支出が増加する見込みです。収入が伸びない中、支出だけが右肩上がりで伸びていく状況は、「ワニのくち」に例えられます。予算(支出)を抑制する事業見直しの実施や、事業再編の手法を抜本的に見直し改革しない限り、「ワニのくち」はますます開き、どんどん大きくなっていきます。

 

 

❏他都市と

林市政の平成22→令和3年で、一般会計の規模は1.48倍。この間の他都市の状況はどうなっているでしょうか?同じ政令指定都市の相模原市、川崎市も、同時期に一般会計予算は増えています。がしかし、横浜市の財政拡大は突出しています。同じ期間に「大阪市」は1.08倍。行政改革にしっかりと取り組んだ行政(市長)と、積極財政を続けてきた横浜市とでは、大きな「差」が生まれています。

林市長は、第三者評価を入れた事業見直しである「事業評価会議」を自身の任期期間中に辞めてしまいました。毎年、100億円〜150億円の事業見直しを実施し、「しっかり事業見直しに取り組んでいる」と言っています。が、見直し金額は毎年ほぼ同じ金額であり、支出の増加額に比例していません。「形だけ」の事業見直しになっていないか、深掘りと検証が必要です。

「大都市横浜市を経営する」という視点にたって、毎年100〜150億円の「形だけの」事業見直し手法を抜本的に改め、新たな枠組みをつくる必要があります!

 

 

❏横浜市問題1局が50100億円前年度比

平成22年度→令和3年度に、一般会計予算は1.5倍に増加しています。その中でも特に健康福祉局、こども青少年局。この2局の積極財政ぶりが著しい!検証しました。

下記の表は、林市長の任期期間中、同2局の単年度予算がどのように増加したかを検証した表です。表の赤色=前年度比100億円超、紫色=前年度比500億円超の予算増加を表しています。

こども青少年局はこの10年近く、毎年100億円超の予算膨張をしています(H24年度 唯一の減少、H30年度の90億円増を除く)。健康福祉局はこの10年近く、50〜100億円超の毎年予算増加(H28年度の唯一の減少を除く)。単年度で100億円の増加でも、ノンストップで続ければ、10年間で1,000億円の予算増加になります。そんな局が2局あれば、1000億円×2局=2,000億円の予算が増加します。今回は増加が著しい2局の検証を行いました。が、林市政ではどの局も抑制が効かない、前年度比増の放漫財政を続けています。林市政のキャッチフレーズ「おもてなしの市政」は、予算査定の甘さに直結しています。林市政の12年間。際立った甘さの目立つ予算査定。他局についても、より詳しい検証が求められます。

 

 

❏コロナ禍でオペラハウスに615億円?

健全財政という視点で考えれば、費用対効果の事前評価を厳格に行い、客観的な評価の元に、時として特定の事業をしっかりと見直し「辞める勇気」を持つ事が必要です。

2020年6月に完成した新市庁舎建設では、建築費・土地代で993億円(約1,000億円)を使い、年間の維持費25億円以上の予算が投入されています。

林市長がどうしても進めようと、心血を注ぐバレエ・オペラを中心とした劇場整備。検討委員会では、概算建設費等が約480億円で土地費用を含めると約615億円、年間運営費が約45億円でうち市費が約14億円と試算しています。建設時も、その後の年間運営でも持続的な負担を伴います。また、見込み通りに運営が実施できなければ、負担が増えるリスクがあります。調査を始めた事を既成事実にして、その後、ブレーキをかけて止まる事ができない、という事では大変です。

 

 

❏ドライバー交代とブレーキを!

横浜市の成長には、エンジンとガソリンが必要です。がしかし、財政の崖に突っ込まないようにするには、止まる為の「ブレーキ」も必要です。放漫経営・放漫財政を続ける現状は、ブレーキが効かない危険な車に乗っている状態と言えます。ドライバーを交代し、暴走を止めなければ、市民の安全が守られません。私は非常に強い危機感を感じています。

 

 

❏林市長の考えは誤り!〜財政難をカジノ推進の理由にしてはいけない

コロナ禍で世界のカジノ産業は斜陽化。市長が推進の主な理由としている税収も見込めません。コロナによる負の影響を評価し、市民に示すことが当然と言えます。が、林市長はコロナによる影響をまったく評価していません。申請スケジュールを理由に、カジノ誘致の手続きを急いで強引に進めてしまおうという姿勢です。また、カジノ誘致による負の影響について。その可能性の正しい指摘とコスト試算がされていません。林市長は懸念される負のコストの発生見込みを矮小化しています。依存症の増大、治安の悪化、反社会勢力の関与やマネーロンダリング、青少年の健全育成への悪影響、地域の風俗環境・治安の悪化など。もしそれが発生した場合、その影響を受けるのは、そこに住み続ける「横浜市民」である事を忘れてはなりません。

 

 

❏立つ鳥、後を濁さず

今年の8月。林市長の3期目の任期は満了します。カジノ推進の是非はその選挙で選ばれる「新市長」に委ねられます。しかし、林市長は、申請手続きを急いで・強引に進め、自身の任期中に基本契約を締結し、「カジノ推進を事実上決めてしまおう」という疑い・意図が感じられます。

民間企業(カジノ事業者)との基本契約は、契約解除の際に賠償責任が生じます。この基本契約の中身、特に解除の場合の賠償責任や、基本契約の締結の時期について(選挙前か、選挙後か)。その内容次第では、横浜市民に膨大なリスク(つけ)を残す事になるこの契約の重要部分。今年3月の議会で、この重要部分に関する質問に対して、林市長は明言を避けました。

リスクを明らかにせず、何が何でもカジノを推進しようとする林市長の強引な姿勢。横浜市民の将来を考えず、自分の事しか考えない許しがたい態度、と言わざるを得ません。

 

古代中国の王様の話。敵から攻め込まれた王様は、街と一体となっている城を焼き払い撤退しました。次の人にその城下を使えなくするためです。それに加えて、その王様は、畑に塩をまき、作物が作れないようにもしています。

今までの自分の仕事の価値が無に帰すような行為。絶対にない事を祈ります。