横浜市の「子ども食堂」について調べてみました!〜人がつながる地域の居場所づくり

●日本の子どもの6人に1人が相対的貧困

日本の子どもの貧困率は16.3%で、「日本には貧困状態にある子どもが6人に1人いる」と言われています。子どもの貧困率とは、相対的貧困状態にある17歳以下の子どもの割合を指します。相対的貧困とは、貧困ライン(国民の可処分所得を順番に並べた時、ちょうど真ん中に来る所得額[中央値]の50%)に満たない暮らしを強いられている状態です。

 

 

●「子ども食堂」とは?

テレビや雑誌でも取上げられ、子ども食堂は全国に拡がっています。子ども食堂とは、無料もしくは格安で栄養バランスが考えられた食事を提供している食堂で、共働きや経済的に苦しい家庭の子どもなどが利用しています。子ども1人でも入店できます。成長段階にある子ども達の食事環境と美味しい食事や地域のつながりを提供する試みであり、地域の子どもたちを地域で育てる草の根の活動として全国各地に広がり始めています。

 

 

●  横浜市の「子ども食堂」の状況

先日、横浜市の「子ども食堂」の取り組み状況について、所管のこども青年局企画調整課にヒアリングしました。こども青年局では、平成28年7月に、「子どもの貧困対策に資する地域等の主体的な取組に関する調査」を行っており、その中で、各区における「子ども食堂」の取組状況の実態調査を行っています。

 

「子ども食堂」(状況把握した事業者数)

鶴見区3、神奈川区0(準備中1)、西区4、中区4、南区5、港南区2、保土ケ谷区1、旭区2、金沢区2、港北区2、緑区1、青葉区2、都筑区1、戸塚区2、栄区2、泉区2、瀬谷区2、市内全域1  (計39ヶ所)

 

運営主体は、地区センターや、NPO、教会、社会福祉法人、地域ケアプラザ、地域のボランティア、個人など、様々な方々が関わっています。殆どの運営が、ボランティアの皆さんに支えられています。実施頻度も週1回〜月1回程度まで、様々です。尚、調査は1年近く前のものであり、現状はもっと増えているかもしれません。

 

 

●  横浜市の今後の取組み

横浜市のこども青年局では、「子ども食堂」等の創設・継続支援(地域における子どもの居場所づくりサポートモデル事業)として、新規予算3百万円を計上しました。取組みは、横浜市の社会福祉協議会へ委託。社協を相談窓口として、助成制度や地域人材の情報を提供するなどにより「子ども食堂」等の取組の創設・継続を支援します。加えて、29年度も実態調査を継続し、効果的な支援策を検討します。その中で、磯子区と港北区の2区をモデル実施地区として選定しています。

 

 

●  まとめ

相対的貧困率が「6人に1人の子ども」という状況を考えると、「子ども食堂」のニーズは高く、更にその数が増えていく可能性があります。横浜市はニーズを含めた実態調査に本腰を入れ始めたという段階ですが、対応する為の新規予算を計上した事は、評価すべき事です。

民間ボランティア主体の活動である事から、「行政があれこれ言わない方が良い」という意見もあるようです。しかし、本当に困った事があった場合には、市の「公的支援制度」に繋いでいく「連携」が必要です。側面支援を充実させる、という立場で、「子ども食堂」の事業にも取り組んでいきたいと思います。