都心の若者が移住する農園付きリノベーション団地〜ホシノタニ団地(座間市) 小田急電鉄✕ブルースタジオ

●  ホシノタニ団地 誕生の物語

高度経済成長時代に大量供給された、日本全国のどこにでもあるエレベーターなし・2戸✕4〜5階の住人で階段を共有する箱型の団地。小田急線の座間市駅前(徒歩1分)にある「ホシノタニ団地」は、日本全国に沢山ある、箱型団地の1つです。

 

「ホシノタニ団地」は、元々小田急電鉄の社宅として使われていました。社宅としての利用が終了し、その後の利用方法を検討。当初は建替えや、その他の土地利用も考えていましたが、ブルースタジオが手がけたリノベーション物件=「日野の多摩平団地」の事例視察をきっかけにして、団地の躯体を残し、内装・外装を現在風に変えるリノベーションによる再生が決まりました。

 

55戸、築45年、37㎡・2LDKの間取りの団地を、リビングが広い1LDKの間取りに変えるリノベーションによって、新しい命が吹き込まれ、2015年7月から、都心に住む多くの若者が移住を希望する農園付き団地に生まれ変わりました。

 

 

●  ホシノタニ団地に行って驚いた事

昨日(3月26日)、ホシノタニ団地で開かれた「ホシノタニマーケット」にお邪魔しました。Facebookにも書きましたが、ホシノタニ団地に行ってみて、驚いた事を記載します。

 

①   団地の中にドッグランがある

「ドッグランがあるって!」私はそんな団地初めて見ました。

団地の中では、犬も飼えるようです(これも中々ないですね)。

団地内にあるドックランの前で、TV取材を受ける大島さん。大島さんはこの物件のリノベーションを手掛けたブルースタジオの社長。

 

 

②   団地の中に農園(シェア畑)がある

自分専用の区画で野菜づくりが楽しめるサポート付き農園。専任の菜園アドバイザーの指導付き。6㎡ 6,389円〜(種・苗・肥料・農具レンタル等含む)

 

③   1Fにお洒落なカフェ(農家カフェ)がある

37㎡✕2部屋分の広さのカフェ。団地でとれた野菜・果物を使ったお菓子と、おいしいコーヒーなどを提供している常設のカフェ。時として団地の中の住民が集まる集会所になる。団地外にも開放されており、団地と地域を繋ぐ拠点にもなっている。

 

④   1Fに行政の子育て支援施設がある

団地の1Fには、座間市による子育て支援施設『ざまりんのうち かかやき』は、お母さんたちの憩いの場です。子どもと遊んだり、親同士やアドバイザーとおしゃべりしたり、自由に過ごすことができます。予約の必要はなく、無料で利用できます。また、子育てに関する専門家への相談もできます。
子供のためのおもちゃや絵本のあるプレイルーム、赤ちゃんコーナー、ベビーベッド、情報掲示板、授乳室、相談室などがあります。
利用時間 月曜日〜金曜日 午前10時〜午後4時。駐車場5台。

 

⑤   団地の中で結婚式を挙げたカップルがいる

今まで錦糸町に住んでいた若いカップルは、「ホシノタニ団地」を見て一目惚れし、移住を決定。この団地の空気感が好き過ぎて、団地の中(中庭)で結婚式を挙げました。生まれ変わったホシノタニ団地が、二人の最高の思い出の地であり、二人の人生を変えた空間です。

 

⑥   都内から若い人達が多数移住してきている

小田急線の急行で新宿→座間は50分程。座間駅からは徒歩1分ですが、都内に通勤するには近いとは言えない距離。しかし、「みんながのんびり出来る公園のような団地」に、スローライフを求める都心の若者たちが多数移り住んできています。30代、40代の若者が中心の構成となっているようです。

 

⑦   団地の良さを語る住人の目が、輝いている

ここでの暮らし、ここでの空気を語る若者の目が、輝いているのが一番印象に残りました。ここに暮らしている事に誇りを持っているようにも見えます。又、団地の住人間の関係性だけでなく、駅前の発展や、団地✕地域の関係性についても思いを巡らせているのは、素敵だと思いました。地域に誇りを持った若者が、高齢化したまちや、衰退が進む駅前市街地を変えていく原動力です。

 

●  横浜(旭区)の団地再生事業始まる

先週の金曜日(3月24日)の議会最終日に、平成29年度予算が可決されました。建築局の予算では、旭区の大規模団地(若葉台、左近山、ひかりが丘)をモデル地区とした、団地の再生事業の予算化が決まりました。平成29年度には、全国の団地再生事例の調査や、プランの作成を行い、翌平成30年度以降、それを実行に移していくという複数年にわたる事業です。横浜市内には500戸以上の大規模団地が60ヶ所あります。平成29、30年度に行われる旭区での事業や調査が、その後の市内60ヶ所の団地再生事業の試金石となります。

全国の事例の良いところを取り入れ、ハードだけでなく、ソフト、特にコミュニティや場の空気や空間を、どのようにつくりだすかが、鍵になります。それにしても、団地の再生について、ホシノタニ団地を見ていると、「頑張ればここまで出来るのか!」と、夢が膨らみワクワクしてきます!